32歳で退職して人生を変えたくて日本一周をしたSEの後悔
東京で満員電車に揺られながら毎日8時~22時の労働に疲れ切ったIT企業社員の34歳が思い切って退職して、その後に日本一周に出かけた34歳男性の話です。
仕事に疑問を持ち始めていた
IT企業と言っても他の会社に出向する下請けSEです。自社サービスは何も無いのです。
このまま定年を迎えるのだろうか?
残業ばかりの日々で何が残るのだろうか?
今の会社があと30年持つのだろうか?
子供もいない人生に何の意味も無いのではないか?
新しい人と知り合う機会などないが、世の中の人はどうしているのか?
都内の賃貸マンションで一生ワンルームの家賃を払い続けるのか?
などなど『生きがい』『やりがい』のない生活で疲れていました。
そして、ついに彼は決行します。
退職です。
プログラミングのできるSE職なので今のところ仕事や会社は他でもいつでも復帰できると見込んだので不安はありませんでした。
貯金は580万円
当面は生きていける余裕はありました。
車での日本一周が始まります。基本は観光地巡りやその場で宿を探すスタイルです。
今まで見たことのない建物、人、動物、自然、お酒、を見て味わっていくことで癒されていきます。今ごろ東京では相変わらず忙しい毎日なんだろうな~自分は自由だ~などと最高の気分を堪能します。
平日昼間から車を走らせて道の駅に立ち寄ったり、高速のPAを巡ったりしながら、何も考えないで済む日々を過ごします。
埼玉から出発し、仙台で牛タン、札幌でカニ、Uターンしてきて富山で取れたての貝、大阪道頓堀で食べ歩き、広島で原爆ドームを見て、博多ラーメンを食べる、そして高速を走って帰宅です。
2か月ほどの旅でした。
その間の宿はほとんどホテル。たまに健康ランド。
後悔したことが沢山
あの~、本当に単なる旅行で終わってしまい、誰かと知り合うなんてこともなく、会話をするのは店員さんとだけ。
平日昼間に車を飛ばして自由だ~なんて言っていられるのは最初の3日くらいだけです。だんだんと訪れた場所の記憶なんて薄れていき、『自分は一体何をやっているんだろう?』という虚しさが募っていきます。
車で行ったのが間違いでした。
電車ならまだしも、さらに言うならヒッチハイクのほうが色んなコミュニケーションがあったかもしれないのに、苦労知らずというのはツマらないものなんだと知りました。
ホテルもじゃらんで当日予約できちゃうので、これもダメでした。
地方の民宿を足で訪れて聞いて回るくらいじゃないと大変さを乗り越えた達成感も無くて、ただの出張みたいな気分になってましたから。
食べた記憶しか残ってないのも虚しさに輪を掛けます。なんせ一人旅なので、たとえ美味しいものを食べたとしても共有する人がいない寂しさがあるのです。
浪費が止まらないのもありました。いくらお金は余裕があったとしてもホテル代、ガソリン代、食費、高速代、と毎日のように1万円2万円が飛んでいきます。
ものすごい速さで消えていきます。
クレジットカード支払いもしていたので翌月末がとんでもない請求書になっていたようです。
完全ノープランだったのもダメ。行き当たりばったりだと無駄な時間が多すぎるようです。
いくら自由な旅とは言ってもある程度の道筋は事前に考えておいたほうが多少は有意義に過ごせたと思ったようです。
結局、彼はその後新しい会社に入って、また東京で下請けSEに戻ったようです。
でも一時的とは言え非日常を味わったことで仕事に身が入ることを実感できたらしいですよ。